東大合格体験記 - 文二

東大受験までのエピソード

浪人のときの話です。先ほどもお話したとおり、浪人の序盤は高3の時の頑張りの反動で、まったく勉強が手につきませんでした。プー太郎のような廃人生活を送っていました。自分の愚かさを自覚してはいました。でも、中毒者のように廃人生活をやめられずにいたのです。今思うと、本当に馬鹿です。

セミの声もわずかになった頃、一本の電話がありました。母親からです。

――お父さんが倒れた。

急いで東北に帰り、父親の元へ駆けつけました。 病名は何だったのでしょうか。難しくてはっきりとは覚えていませんが、とにかく長期の入院と手術が必要であり、命の保証はないとお医者さんは言っていました。 僕は3人兄弟の長男で、食べ盛りの2人の弟がいます。 収入は母のパート代だけ。 当然、自分がどうすればいいのかは直感的に悟りました。

「俺、予備校やめて働くよ」
「何言ってるの。あんたにできる今一番の親孝行は東大に合格することでしょ。絶対に東大に合格しなさい」

母は何を言っても譲りませんでした。 僕の家系から国公立はおろか、東大合格者が出たことはなく、東大合格は、両親の夢にもなっているようでした。

それからは心を入れ替え、相当な量の勉強をしました。 たとえ1科目受けなかったとしても、東大に合格できるくらいのレベルに。 その結果、東大に余裕をもって合格できることができました。 父親はその後、快方に向かい、今ではすっかり元気です。

人間、いつどんな壁や困難が訪れるかなんて分かりません。でも、その逆境を乗り越えることに価値があり、喜びがあると東大受験によって学べました。